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Meaning of challenging.

初めてこの岩を見たのは何年も前に、Joeさんたちとドーラのエリアに初めて来た時だった。

その時はドーラやラードをトライしたりしていた。

ひときわ大きいこの岩は目についていたけれど、あまりの大きさにいざ登ろうとは思わなかった。



月日は流れまた下呂に行く様になり、ふとこの岩の事が気になった。

今なら登れるんじゃないかと。



過去にも瑞牆や下呂で、初登という経験は何度かはあった。

しかしさほど難易度の高いクライミングではなく、どれもその日の数回で登れるものだった。



今回のような大きな岩にラインを見い出し、整地をし(着地点岩を動かし整地をし、木を切りました)、掃除をする。

岩の裏の木で支点をとり、上部の掃除やホールドの確認(不意に欠けたり剥がれたりしないか)。

そしてムーブを作る。



いざトライをしてみるとムーブが出来なかったり、強度が高かったり、難易度の高いクライミングを要求されるものだった。

果たして登りきる事が出来るのか?という疑問を持ちながらのトライだった。

途中ホールドの大きな変化があった際は、もう出来ないのでは?という感覚もあった。

(その可能性も十分にあったのだけれど。)

今回はたまたま運が良かったのかもしれない。

違う方法を何度か試み、新しいやり方を見つけた。

よりライン取りも良いものになった。




後は設定したスタートから繋げて上まで登れるか。

ボルダーとして比較的大きなサイズの今回の課題は、必然的に手数が多かった(トータルで13手)。

内容としても劇的に悪い1手(自分としてはリップ奥に左手を飛ばす1手が1番強度が高いと感じた)があるというより、

出だし、中間、上部と比較的一定の悪さがあるムーブをこなし、高度を上げていくという内容だった。

トータルでそのムーブをこなしきる事が出来るのか。




ムーブが出来る可能性が解決した後は、恐怖感を克服するだけだった。

下部をいかにヨレずにこなし、いかに平常心を保ち1つ1つのムーブを間違いなく確実に遂行するか。



残された2つの問題を解決するのが、大きな課題だった。





<2017.12.24>



当日は曇りで夕方から雨の予報。

週間予報をみると来週からまた雪が降る可能性があった。

もう少しコンディションが良さそうな日を選びたかったけど決行。

色々と下準備がありそうなんで早めに出発。

下呂に着くと太陽も出てきた。



10時頃ドーラのエリアに着くと、大半の岩の上は濡れていた。



IMG_3315.jpg




この時期このエリアは日が当る事が無い。

トライするか迷ったが目的の岩まで行ってみた。



岩の高さのせいかフェイス面は乾いていた。

ただ上部は他の岩同様濡れていた。

年内最後のチャンスかな、という思いもあったのでトライする事に。

念のため持参したタオルで上部を乾かす。

最後に使う3箇所のホールドがびしょ濡れ。

上部からの染み出しを抑え、何度か拭いているといくらかマ シになった(結局トライ中もタオルは岩の上にのっけたまま)。



結局13時過ぎ位まで、タオルやチョークを使って上部を乾かした。

気温も少し上がり回りの岩もいくらか乾いてきていた。

突如下流から強めの風が吹き始めた。



濡れていた上部のホールドもほぼ乾き、コンディションもいくらか良くなった。



マットを配置し下部のムーブの確認。

しばらくおいて1回目のトライ。

上部でヒヨって降りた。



疲れた身体で上に突っ込むのは危険だと判断。

やってもあと1〜2回かな〜と考えていた。



長めに休んでいざ2回目。

下部をこなし高度を上げる。

左手遠いリップとり、そんで右手のカチ、左手を1つ送ったところで手がつりかけた…。

我慢して右足ハイステップ、ここではもう落ちれない。

右手でガバをつかんで足上げ。

後は慎重に岩の上へ。




何とか登る事が出来た。


フレーム-25-12-2017-09-08-47

(3手目のカチ取り)



フレーム-25-12-2017-09-08-12

(リップへの左手出し、ここからマントルまでが核心)



フレーム-25-12-2017-09-10-18

(最後の乗り込み)



これまでとは初登までのプロセスが全く違った。

費やした時間も労力的にも技術・精神的にも。



結果的にその2つの問題を解決し、岩の上に初登という形で立つ事が出来た。



出来るのか?という疑問を持ちながらのトライ。

未知で不確定な1手1手を出し続けるという事。

暴れる恐怖感を抑え岩の上に立つ事。

不確定なものが確信に変わった瞬間、クライマーとしての喜びを改めて感じた。

気力や体力があるうちに良い経験が出来た。

クライミングを続ける目的の一つは達成できた。



触った事のないルートのトライや、ハードな課題のリピートも楽しい。

しかしプロジェクトをトライしている時は格別なものがあった。



登れたら最高だろうな、嬉しすぎて叫ぶかな?

とか登れる前は思っていたけど。



登れて良かったという安堵感と、終わってしまったという喪失感が同時にあった。

もう少しこの岩にトライをしていたかった、という気持ちもどこかにあったのかもしれない。



グレードの話。

気持ち的には“UNGREDED”とか言いたいところだけど、散々色々言っといて目安を提示しないのも無責任なんで。

改めて考えるとざくっと2〜3段くらいかな。

トライしたのは掃除や整地などの準備を含め、約4日間。

うち1日はほぼ作業だったかな。



下呂のドーラ、ラード、あうん、アップニアなどの2段よりは確実に難しい。

高さのある直登系の課題では恵那のカマイタチやレッドブル、エンパシーあたりと同じくらいかな〜と。

(いずれも2日くらいで登ってるんでその辺よりは時間がかかっている。)



3段-、ってよりV10ってのがしっくりくる。

どでかい岩にラインをひく。

スケールのデカいクライミングができた。

岩の基部のガバからSDスタートです。



IMG_3320_.jpg




課題名は『HAKUJIN(ハクジン)』。



このような挑戦や経験をまたしてみたい。

もう少し難しくても楽しめそう。

数日経つと意識は次の岩や課題に向いている。



果たしてまた素晴らしい岩に出会えるか。

岩探しもしないとな〜。
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